ミケランジェロ・プロジェクトは駄作だとは思わない

僕は美術が大好きです。ヨーロッパに憧れた、今にして思えば唯一の理由は、

ヨーロッパこそが美術の本場

だと思ったからです。世界旅行には興味が全くない僕ですが、そんな僕がなぜヨーロッパに行きたいかと問われるなら、

美術館博物館図書館巡りがしたいから

と答えるくらい、それくらいに僕は美術が大好きなのです。逆に言うなら、有名どころの美術館博物館図書館のないようなところにははなから興味なし。アフリカとか東南アジアに全く興味がないのは、つまりはそういうことなのです。馬鹿にしているのではなく、僕の好きなジャンルがないから。だから興味がないのです。

はっきり言って、名所旧跡にはほとんど興味がないし、美味しい食べ物にも全く興味はありません。特に食べ物なんて、まんまバス旅の蛭子さんと同じで、どこに行ってもカツカレーとかカツ丼で大満足。想像以上にあちこち行ってる僕ですが、ご当地名物品なんて全く知りませんし、ご当地で買ったことも食べたこともありません。一人旅で、それ以外のものを食べたことがないくらいに、僕はグルメには全く興味がないのです。

本当に申し訳なく思ってるくらいに興味がないのです。

余談ですが、今のツレとは一緒にあちこちって、それでようやくご当地グルメを食べる機会を得ています。なので、勘弁してください。

でも、美術館博物館図書館は大好きで、そういう感じの展示物も大好きで、だからそういう場所には足繁く通っているのです。

一度入ったら、まず半日は出てこないので、必然的に一人で行くのですが、一人の方がいいです。じっくり楽しむことができるので。最高に楽しいひとときなのです。

さて、ミケランジェロ・プロジェクトは2014年に公開された映画です。何やら辛口の評価がされているようですが、僕はそうは思いません。

史実として見るなら、これは映画なので、確実に脚色されているでしょう。事実に忠実である部分もあれば、そうでない部分もあるでしょう。

つまり

記録映画として見るならダメ

だとは僕も思います。けれども、

戦争という極限状況においてもなお、美術品を守りたいというこの発想

僕はここに心を打たれます。もちろん大事なものは他にもたくさんあるのです。一番大事なのは人の命。けれど、そんな命を大量に消費してしまう消耗戦の中にあってなお、それでも美術品を守りたいというのは、これこそが人間の叡智だと、僕は思います。

そのおかげで、素晴らしい美術品が後世まで伝えられるからです。

自然は人を感動させる力を持っていますが、美術品だって同様。

さまざまな文化を背景に育った、いろいろと異なる人々を一様に惹きつけ、感動させる強烈な力が、美術品にはあります。

ミケランジェロ・プロジェクトという映画は、つまりはそういうことを伝える映画。僕はそう思います。