マックス・ヘッドルーム事件

時系列としては、先にマックス・ヘッドルームという物語があり、その物語の人物(CG)を模して電波ジャックを行ったのがマックス・ヘッドルーム事件なのです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/マックス・ヘッドルーム

https://ja.wikipedia.org/wiki/マックス・ヘッドルーム事件

マックス・ヘッドルーム自体がサイバーパンクっぽく、今のネット社会とはちょっと違うものの、当時の想像力を駆使して作り出した”電脳空間”で活躍するCGキャラだということを踏まえないと、マックス・ヘッドルーム事件については

ただの電波ジャック

という感想しか持てないと思います。一方で、例えば上記のサイバーパンクなどにハマっていたような人からすれば、この事件はもう大興奮!という感じで、まさに電脳空間がテレビを侵食した!という感想になることでしょう。

実は昔の僕もそう思ってました。電脳空間の一端が垣間見れたのだなぁと。すごいなぁと。

しかもこの事件は未解決。

未解決という称号がつくだけでも、そりゃ違うのです。おそらくはこれからも永久に解決しないことでしょう。基本的には未解決でも誰も困らないからです。困らないどころか、そもそも多くの人がテレビを見なくなってしまっているのだから、そんな事件などどうでもいいということでもあります。

 

ところで、レトロフューチャーという言葉が僕は大好きですが、この電脳空間という単語も、すっかりレトロフューチャーになってしまった感じですね。

そもそもそんな空間などなくて、今はインターネット、あるいはただのネットに完全に置き換わっています。インターネットは全然電脳空間なんかではなく、乱暴に言ってしまえばただの「通信」でしかありません。

スキャナーズ(映画、1981年)では、この電脳空間のはしりがそれっぽく描かれていて、マトリックスなんかはまさにまんまそれ。

そして日本でも電脳空間は物語を席巻します。

僕は興味がなく見てないのですが、GHOST IN THE SHELLなんかもまさに電脳空間って感じでしょう。

なんか光がバチバチ言いながらあちらこちらに流れていく映像は誰しもが必ず見たことがあることでしょう。

   

さて、この電脳空間。

これを扱った物語にはある共通点があります。

それは「何が現実なのか」ということ。

現実とそうでない世界の「どちらが本当なのか」というのがどの作品でも触れられるのです。

そしてその場合、間違っても「どっちでもいいっしょ!」とはならず、多くの場合は現実と非現実の間で悩むのですよね。うーんと。これは本当なのかと。

マックス・ヘッドルーム事件で電波ジャックをした犯人のこの異様さというのは、つまり

それは現実(に存在している者)なのか?という部分にあるのでして、元はCGキャラであるマックス・ヘッドルームが、あたかも現実に侵食しているようなこの得体の知れない雰囲気がポイントなのです。

それゆえに話題となっている事件なのであって、これがマックス・ヘッドルームではなく、どっかのおっさんなら、

あ、このおっさんどこどこの誰それだ!

となって、少なくとも異様な感じには全くならなかったことでしょう。

そんなマックス・ヘッドルーム事件。映像が残ってるのもポイントですよね。

皆さんはこれを見て、どう思われましたか?