トリックスター気取りの太田光さん

トリックスターとは何か?

https://ja.wikipedia.org/wiki/トリックスター

トリックスターに関して、多くの人が陥りやすい罠は、トリックスターは「反権力」であるということ。

これは違います。

トリックスターは全くもって反権力ではありません。そういう発想自体がないのです。トリックスターというのは、権力に対して反抗するものではなく、単に誰に対しても天邪鬼というだけです。誰かに「それは白だ」と言われたら「違うね、それは黒だ」と条件反射的に答えてしまう。

もう少し掘り下げるなら、トリックスターは「英雄ではない」のです。英雄こそが実は正真正銘の「反権力」なのであって、その真髄は「自分が権力を行使する側になる」というもの。英雄は旅に出て凱旋し、そして権力を手にするものですが、ということは、誰かから権力を奪い取るということでもあります。英雄の父殺しなんてまさにその最たるものですよね。

トリックスターは英雄にはなれないし、なる気もないし、そもそもそういうことに全く興味がない。英雄であろうと反権力者であろうと、誰であろうと茶化したり暴れたりするだけ。それが結果的にはいい塩梅に環境や状況をシャッフルすることになるのであって、だからこそトリックスターは善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのです。

  

さて、芸というのは多分にトリックスター的な要素を持ちます。ピエロはまさにトリックスター。道化師はなんであっても茶化すのが役割ですが、茶化すことで王国を転覆させようとは1mmも思っておらず、とにかく面白ければ全てよし!なのです。王様がトリックスターを重用するのは、何よりも「トリックスターは権力志向ではない(だから自分の地位を脅かすことがない)」ことを知っているからだし、だからこそ扱いにくいトリックスターをうまく手名付けることで、自分の権力を誇示することができる。何より帝王学になるのです。実は王様とピエロはウインウインの関係だったりもします。

さらに言うなら、ピエロは王様だけではなく庶民の人気者でもあります。なぜならトリックスターは王様を茶化してくれる唯一の存在なのだから。いくら茶化しても罰せされない存在なのだから。庶民は王様を茶化せない。英雄を茶化すこともできない。尊敬するか反抗するかのどちらかとなります。

このように、ピエロは色々なものを茶化せる。しかし、念を押しておきます。ピエロはトリックスター。英雄ではないのです。

   

この人に関しては、強烈な権力志向が滲んでると僕は思っているのですが、だからこそこういうツイートなんです。権力者をやっつけた!だから痛快なんだと。芸人らしい仕事ぶりとは何か?というクエスチョンが付きますが、僕の予想では「反権力的発言」なんだろうと思っています。

おそらくですが、本人がトリックスターという概念を知ってるのか知らないのかはともかくとして、トリックスター的な発想で物事を捉えている「アピール」をしているのは確かです。だからこそ反権力的な発言を痛快だと捉えているのです。

しかし、最初に書いた通り、この人はトリックスターは「反権力」だという根本的な勘違いをしている。だから非難されるのです。

この人はたけしさんを茶かせるのでしょうか?

無理ですよね。芸能界から追放されてもおかしくありませんよね。しかし、それを平気でやってしまうのがトリックスターなんです。まさにこれこそが痛快なんです。自分のことすら考えずに、とにかく茶化す。トリックスターはほぼ例外なく自分も酷い目に遭っています。けど、トリックスターは反省しません。面白ければそれでいいからです。

   

では、太田光さんは今酷い目に遭っているからトリックスターなのかといえば全く違います。本当のトリックスターは立憲民主党に投票したなんて口が裂けても言いません。むしろ、

そんな馬鹿な政党になんで票を入れるの?

です。どの政党に対しても、誰に対してもとことんおちょくる。これがトリックスター。当然批判も非難もたっぷり浴びて、炎上しまくり、本人も周りもとことん焼き尽くす。その結果は周りにとってはいいことでも、トリックスター本人は死んだり再起不能になったりするのです。なのでトリックスターは無傷ではいられません。しかし、それでもトリックスターは同情を買ったり、あるいは権力者に泣きついたりはしません。あっかんべーをしながら、適当に誤魔化しながら、死ぬまで相手を茶化し続けるしかないのです。誰かの立場を代弁することなんて絶対にしません。トリックスターは自分の欲望(面白ければそれでいい)に忠実なのであって、他は実はどうでもいいのです。

  

太田光さんが非難されている最大の理由は、

トリックスターでもないくせに、トリックスターのふりをしている

ことです。「芸じゃない」と批判されていることからそれははっきりしています。芸じゃないんです。あからさまに「反権力志向」が透けて見えたのです。つまり英雄になりたかったんです。よく言った!なんて言われたかったんです。立憲民主党に投票したというセリフが全てを物語っています。そういう反権力思考のおっさんが口汚く権力者を罵った。だから批判されたのです。

もう少し砕いて言うなら、反権力という名の権力志向を持つ芸能人のおっさんが、その権力で相手を英雄気取りでボコボコにした。だから批判されたのです。

立場や状況的に何も言えない相手に対して、自分の権力を使ってボコボコにした。まさにサヨクの大好きな粛清、あるいは公開リンチですよね。太田さん本人はスカッとしたと思いますよ。サヨク思考の輩もスカッとしたことでしょう。楽しそうに笑ってましたよね。怪物退治に大成功!やった!って感じでした。

けど、権力を使って相手をリンチしている様を見た普通の人はどうか?

これのどこが芸(トリックスター)なんだと思ったに違いありません。逆にものすごく醜悪なものを見せられたのです。リンチを見て喜ぶような感覚を普通の人は持ち合わせてないのです。もちろん英雄にも見えなかった。相手は丸腰で反抗することすらできなかったのだから。

近年、稀に見る醜悪で悍ましいサヨクのリンチを見たのです。普通はそんなの見せられたら怒ります。逆にリンチされてもおかしくないですよね。

    

最後になりますが、老婆心ながらのご忠告ですが、反権力の人こそ太田光さんに対して激怒すべきだと僕は思いますよ。権力の醜悪さをこれほどまでに見せつけられたのだから。あれこそが権力の醜悪な姿そのものでした。

まあでも反権力の人って、例外なく狂ってるので、あのリンチも痛快に見えたことでしょうね。だからそんな輩には何を言っても無駄。

そもそも痛快に見えた時点で気狂いとしか言いようがありません。そんな輩が日本人の中に一人であってもいるということ自体が、とても嫌なことです。