方丈記
最初に知った時には衝撃を受けました。
下手なシリアス映画よりも遥かに考えさせられました。
でも、それは当然のことで、方丈記は「本当にあったことを見聞きし体験したその感想」なのです。作り物とは根本が違う。
今はいい時代ですよ。こうしてオーディオブック的な動画もあるのだから。
僕は、比較的幼い頃から、いつもこう思ってました。
戦も戦争も「大勢の人が参加している」
のだと。戦国武将は確かにすごいのでしょう。けど、僕はいつもその戦に参加している名もなき人の方が気になって仕方がなかったのです。だから実は戦国時代にはあまり興味が湧きませんでした。ちなみに幕末から明治維新にもあまり興味が湧きません。
その時代に生きた「名もなき人」の方が気になるのです。どうやって生きていたのだろうと。戦は怖かっただろうなぁと。
僕は自分が戦国大名クラスの偉人になれるとは思ってない。だから偉人には感情移入できない。歴史でも、あるいは戦争映画であっても、その構造上どうしても主人公とその周辺にしかスポットライトは当たらないけど、僕にはその他大勢の名もなき兵士の方が気になるのです。一度の爆発でどれだけの人が死んで、どれだけの人が苦しんで、どれだけの人が辛い目に遭うのか。
僕は爆発に巻き込まれる方の人間。苦しみたくはないのです。
日本が国民性としてストイックさを持ち合わせている理由の一つは、この国が島国であるということと、もう一つ、自然災害が多かったからではないかと僕は思っています。
地震、台風、津波、飢饉。
歴史を学ぶまでもなく、毎年台風はやってくるし、そもそも地震大国だし、東日本大地震級の津波だって過去にもあったことがわかっています。経済や科学技術が発展するまでは、絶えず食糧不足に悩まされてきました。
まさに方丈記の世界です。
仮に金持ちがどれだけ蓄えても、自然災害のせいで強制的にリセットされてしまうなんてことが絶えず繰り返されてきたのです。
そりゃあストイックにもなりますよ。
それプラス争いの歴史。
欲望に走る前に節制しないと生きていけない環境。
日本人が災害に異様に強いのは、元々そういう民族だったというよりは、
絶えずそんな経験ばかりしてきたのですっかり慣れてしまった
というところの方が大きいと思います。
ちなみに日本に一神教が根付かない理由もそれだと思います。
絶対的
という発想がそもそも出てこないのです。これだけ自然災害だらけだと、その時に権勢を誇っていても、いずれ必ず自然災害などで強制リセットされてしまうからです。
絶えずそんな状態だったので、自ずと集団的にならざるを得ない。たった一人に任せるわけにはいかないのです。集団的に対処せざるを得ないのです。
色々な災害だらけの日本。
だからこそなのだと思います。