ベランダから聞こえる音

札幌に移り住んで驚いたことの一つが

夜に虫の音がしない

ということ。僕はそれまで「ど」がつく田舎に住んでいたので、夜になれば何かしらの虫の音が必ず毎夜聞こえるのが当然だったし、雨の日であっても同様で、ザーザーの雨音とともにしっかり虫も鳴いていたのです。

そんな虫の音も、札幌に来てからは全く無縁になりました。

その代わりといってはなんですが、夜に網戸なんかにしていると、どこからともなく

男女の営み

の声が聞こえてきたりしてました。正直に書くと、僕の住んでるアパートの上階でした。がんばれ若人!と密かに声援を送ったものです。少々うるさいのは仕方ありませんね。けど、怒るほどでもないし、微笑ましいと僕は思ってました。

念のために書いておきますが、わざわざ聞き耳を立てて必死になって聞いたわけではなく、勝手に聞こえてくるのです。それどころか、わりとあの最中に喋るもんだから、ここには書けないようなプライベートなことなどまる聞こえで、聞いてるこちらがハラハラするようなことまで筒抜けでしたね。アパートなので、僕以外にも必ず誰かが聞いていたはず。

お盛んな声は数ヶ月でしなくなりました。多分どこかへ引っ越して行ったのでしょう。しかし声が聞こえないと、それはそれで物足りない。笑

それ以後はめっきり静かで、日曜の昼などに音楽が聞こえてくる程度です。虫の音は相変わらずしません。

札幌はわりと公園がたくさんあるし、緑もそれなり以上に豊富です。僕は住宅地に住んでいるから虫の音が聞こえないだけで、南区とか中央区の円山方面とか、あるいは手稲区とかの方になると、普通に虫の音がするのかもしれませんね。なにせ札幌は大都市のくせにリスはいる狐はいる熊もいるので。自然豊かなので虫だって当然いるはずなのです。

たまにチリンチリンという鈴の音と共に猫がやってきます。

立派な鈴付きの首輪がついていて、一眼で飼い猫だとわかるのですが、おそらく僕の部屋のベランダが縄張りになっているのでしょう。悠然と、しかし警戒しながら歩いてくるのです。目と目が合うと、猫独特の動きでじりじりと動き、そしてダッと逃げていきます。

そんな感じで、あまり音には敏感でない、いやむしろテントの中で歯軋りいびきに挟まれても普通に熟睡安眠できる僕なのですが、それなりに日常の音を楽しんでいます。

…とか、気取っても仕方ない。

また上階にカップル移り住んでくれないかな。

わりと真面目にそう思ってます。←いやそういう発想はダメだろうって。