わからないからこその幸せ
ミステリーの醍醐味は「わからない」。これに尽きます。それ以外にはないとすら言いたいです。知った途端にミステリーではなくなるのだから。
わからないから、謎だからミステリーなのです。
UFOというのは未確認飛行物体のことですが、未確認だからこそ興味が尽きないのであって、例えば仮にそれは米軍の新兵器だなどと断定されたら、その時点で未確認でもなんでもないのです。けど、万が一これが宇宙人の乗り物だとしたら、話は違います。なぜなら宇宙人自体が未知の生物だから。
武漢肺炎が恐ろしいのは、まだそれが未知のウイルスだからで、どんなウイルスでどんなものに弱くて、どうしたら克服できるのかがわかった時点で恐るるに足らずとなります。
未解決事件が恐ろしいのは、それが未解決だから恐ろしいのであって、誰がなんの目的で行ったのかが全部わかったら、未解決でもなんでもないのだから、そういう意味では恐ろしくはない。もちろん例えば殺人事件で、その犯行があまりにも常軌を逸したものであったら、心理的にはとても恐ろしいのですが、けどそれはその点ではミステリーでもなんでもない。自分がそんなことされたら怖いという生存本能のなせる技なのです。
世の中には「わからないこと」がたくさんあります。むしろわからないことだらけと言ってもいいでしょう。
僕はよく「〇〇さんは休みの時に何してるの?」と聞かれたりするのですが、職場では僕はどうやら謎の人扱いらしいのです。謎だとなると知りたくなるのかもしれませんね。知ってしまったら、つまらないおっさんだとばれてしまうわけで、それはそれでどうかと思うのですが。苦笑
ところで、わからないことを「知ろうとする」のは実に楽しいことですよね。かっこよく言うなら、知的好奇心ってやつです。
僕は昔からミステリーが大好きだったので、そういう意味ではそれなりに知的好奇心はありましたが、一方でヌードの女体の黒く塗りつぶされている部分にも猛烈な知的好奇心を感じていて、それはそれはあれこれと考えたものです。笑
消しゴムで消せば見えるなどという話を真に受けて、必死で消したり、あるいは黒く塗られていない雑誌を手に入れようとしたり、知ろうとする意気込みはすごいものがありましたね。犯罪に手を染めなかった自分を褒めたいくらいです。
けど、この歳となり、それなりに経験も積み重ね、黒く塗られている部分を実際に見たり触ったり色々なことをしてしまうと
すっかり満足したのか
もはや見ただけではなんの反応しなくなってしまいました。
知らない方がずっと新鮮なままでよかったのかもしれないと最近では思っています。
ミステリーも、わからないからこそ。
むしろわからないままの方が(精神的にはある種)幸せだとすら思います。とは言え、やっぱりわからないとモヤモヤするので、結局は知的好奇心を満たそうと頑張るのですが。
この世界はもっともっと知らないことだらけであって欲しい!
本当にそう思います。特に人類の存亡に関わらないような、他愛のないどうでもいいようなことは、むしろどんどんわからない状態でいてほしいとすら思います。笑