40年以上連れ添ったのですが、ついに
お別れの時が来てしまいました。
悲しいことです。
うっかり写真を撮り忘れてしまったのですが、それほどに動揺してしまったのです。
なんということだ…
別れは実に呆気なく訪れ、そして僕はまだ呆然としています。
目を瞑れば、走馬灯のように思い出が蘇ります。気づいた時にはいつもそばにいる存在でしたね。
いやむしろ片時も離れないかのような、お互いに硬くむずばれた存在でした。
いつも僕を心地よくしてましたね。だからこそ僕も全幅の信頼をもってそれに応えました。
別れなんて一度たりとも考えたことがありません。
僕にはお前しかいない!
そういう存在でした。
色白だったスリムな体もそれなりに年季のはいったくすんだ肌色となり、背も若干縮んだかもしれません。
けど、それがなんだというのだ!
どんな姿になってもいい。俺はお前でなければならないんだ!
ただそれだけなんだ!
ああ。
ああ、それなのに。
それなのに…
最後のお別れを言う時が来ました。
今まで本当にありがとう。
またいつかお前のような、いや、またお前に巡り合えるように俺は願うよ!
だから、今はおやすみ。
本当に、本当にありがとう。
…などという妄想をしながら、壊れてしまった耳かきをとりあえずもう一度ペン入れに立てておきました。
ちなみに、長年愛用しているモノは耳かきのみにあらず、結構あれこれあるのです。我ながら物持ちよ良過ぎ!笑