三毛別羆事件

三毛別ヒグマ事件復元地

 

wikipediaより。熊とメルメットを比較してみてください

野生の前には人間は一人ではとことん無力。そう思い知らされる事件です。

1915年(大正4年)12月9日から12月14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別(現:苫前町三渓)で発生した、クマの獣害としては日本史上最悪の被害を出した事件。

wikiではこのように書かれていますが、この事件を知ったのはテレビ番組でした。そして番組を見終えて「これはあまりに恐ろしい」と心底思いました。

身長2.7m、重さ340kgの巨大なヒグマが開拓民の家を襲い、7名を殺害し、3名が重傷を負ったのですが、殺され方もまさに悲惨そのもの。この話で一番怖いのは、

誰も近寄れない家の中から熊が人を食べる音がする。食われている女性の断末魔の呻き声も聞こえる

僕はこの下りでほんとに背筋が凍りつきました。この時熊に食われた女性のなんと悲惨なことか。そして助けたくても助けに行けない人間のなんと無力なことか。

いやいやこれは単に熊が人間を「餌」と認識して狩って食べただけなんていうのは、いかにも知った風な若造的な書き方ですが、いざ人間が素っ裸で自然に放り出されたら、いともたやすく同様の目に遭うんだろうと思うと、野生というのは本当に怖いとつくづく思います。

しかも熊は女子供だろうがお構いなし。いやむしろなまじ「女子供の肉の味」を知ってしまったが故に、以後も基本女子供のみを襲うのだから、これが人間なら「鬼畜」としか言いようがありませんが、熊には「弱い者をいたわろう」だとか「乱暴はよそう」なんて発想は頭の片隅にすら全くなくて、ただ単に

腹が減ったから何か食おう
そういえばあの肉(女子供)が美味かったからまた食べよう

なのだから、それが妊婦であろうとお構いなしに腹を引き裂いて、そして食べていくのです。「腹破らんでくれ!」「のど喰って殺して!」などと言う女性の話なんて熊にはわかるわけもなく。

その熊1頭を仕留めるために、討伐隊、軍隊、マタギと計600人が投入されました。逆に言うなら、これだけの力を投入しないと、当時はどうしようもなかったのです。これが野生なんですね。

札幌にはよく熊が出没します。これに関しては、よく言われる「山に餌がない」という理由ではなくて、山と人間のテリトリーの境が近づきすぎているという話があります。

どういうことかというと、森林が「豊かになりすぎた」結果、自然が拡大し、その結果、自然を抜けたらすぐに人家がある、人の住む場所に出てしまうのです。昔であれば人家と山の間には畑やたんぼなどのいわゆる緩衝地域があって、山から人家に近寄るには、畑やたんぼなどを通らないとならなかったのが、その畑やたんぼがなくなったことで、一気に山から人家に到達できるという環境の激変ともいえる変化があったのです。

野生と人間を隔てる緩衝地帯が無くなったらどうなるか。

考えただけで恐ろしいことです。

これに関しては違う機会に書きたいと思いますが、自然を守った結果として野生の力がそのままストレートに人間のテリトリーに入ってくるというのは、これは恐怖以外の何者でもありません。

札幌にはキタキツネもいるし、リスも鹿もいるし、熊だって出ます。山はほんとにすぐ隣にあるという感じで身近も身近。あちこちに登山道もあるし、夜景スポットも豊富な、文字通り「自然豊かな街」です。

けど、自然は優しいだけじゃない。そこには野生が潜んでいる。

これは本当に肝に銘じておかないとなりませんね。

 

 

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