あなたは真実の人魚姫を知っても、それでも本当にがっかりできますか?
誰が言い出しっぺなのかは知りませんが、世界三大がっかり観光地である、シンガポールのマーライオン、ベルギーの小便小僧、デンマークの人魚姫像。せっかく行ったのに、お目当ての像があまりにもチマッとしたサイズだったら確かにがっかりですよね。
YouTubeでも見たのですが、なんの先入観もなく知識もなければ、確かにこれはがっかりするのも無理はないと素直に思います。少なくともそれ目当てで行くのはちょっと大富豪でもない限りは無理じゃないでしょうか。同じ金を使うなら、もっと有意義なものに使いたい。そう思う人を責める気には全くなれません。
そんながっかり感のある人魚姫ですが、調べてみると、もう本当にいろいろと大変というか、不幸というか、その背景がなんかもうどんよりしてしまって、ちょっと複雑な心境にならざるを得ません。

デンマークの首都、コペンハーゲンにあるこの像は、そもそもがアンデルセンの童話で、ほんとに知られているオーソドックスな話としては、王子様に恋をした人魚姫は最後は泡になってしまうのですよね。実はこのあとに続きがあるのですが、そこはあまりポピュラーではありません。けれど、全体を通して実に悲しい話であるのは確かなことです。お姫様なのになんて悲惨な…
そもそもは作者であるアンデルセン自身の失恋が元でできた話だからなのでしょうが、物語全体がとてもどんよりしているのです。子供心にも「ただひたすらにかわいそう」としか思えなかったなぁ。
そんな人魚姫の像なんて、そもそもなんで作ろうと思ったことやら。
とか思って調べてみると(以下wiki引用)
『人魚姫』の物語を演じたバレエに感銘を受けた、カールスバーグ醸造所の創立者の息子カール・ヤコブセンは1909年、彫刻家エドヴァルド・エリクセンに人魚姫の像の制作を要請する。1912年9月14日の試験的な設置を経て1913年8月23日、現在の場所で恒久的に公開された。そのバレエの主役を演じ当時デンマーク王立劇場のプリマドンナであるエレン・プリースがモデルとして予定されたが(厳密には真偽不明)、彼女が裸体モデルを拒否したため頭部のみのモデルとなり、エドヴァルドの妻エリーネ・エリクセンが首から下のモデルとなっている。
アンデルセンの原作では、腰から下は魚だったはずだが、この人魚像は二本足の足首の辺りまで人間で、それ以下が魚のひれになっている。それは、肢体のモデルになったエリーネの脚があまりに美しく、鱗で覆うのがしのびなかったためとの説がある。
とのこと。とんだもの好きさんだこと!と思うわけですが、こうして作られた人魚姫の像は、なぜか物語のその悲惨さを受け継ぐ様に、かなりひどい目にあっているのです。
・赤く塗られる
・首チョンパされる
・また赤く塗られる
・右手切断
・またも首チョンパ
・ダイナマイトで岩爆破
・落書き
・緑だピンクだ赤だ青だ白だといろんな色を塗られる
一体全体人魚姫が何をしたっていうんだ!と言いたくなるくらいの悲惨さです。散々無茶苦茶されて挙句には首を2回もチョンパされてるし。物語でもひどい目にあってるのに、像になってもこの仕打ち。
しかも、そんな目に遭っているのにもかかわらず、柵だの塀だのといった仕切りも何もない状態で言ってみれば放置プレーまで受けて、そして観光客にがっかりされる。
どんな罰ゲームだよ!状態です。
そんな背景を知ったら、おいそれとはがっかりできないのではないでしょうか?どうでしょうか、みなさん!みなさんはこんな背景を知っても、それでもまだ人魚姫にがっかりできますか?
どうですか?
………。
でも、やっぱりそんな背景を知ったとしても、実際に行ってみたら、やっぱりがっかりするんだろうなぁ。
こ…これだけ?………
ごめんね人魚姫!

