聖ヨゼフの階段とウイリアム・ブレイク

以前紹介したアメリカ最古の家。

サンタフェといえば宮沢りえかアメリカ最古の家かと勝手に決めつけてしまった僕ですが、実はもうひとつあるんですよね。

それが聖ヨゼフの階段と呼ばれる螺旋階段なのです。その螺旋階段があるのはここ。

アメリカはニューメキシコ州サンタフェ市内にあるロレット礼拝堂。ここにその不思議な螺旋階段があるのです。

ふっしぎー

何が?

というわけでこの写真をご覧ください

何が不思議かもうお分かりですね。そう!

支柱がない

のです。ちなみに極々一般的な螺旋階段はこんな感じ。

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支柱がはっきりと分かりますよね。

この支柱が全くない不思議な螺旋階段。それが聖ヨセフの螺旋階段なのです。ふっしぎー。この螺旋階段は合計33段のぐるっと2回転して2階まで上がる構造になっていて、一見危なっかしいのにとても頑丈。事実普通に使われて現存してますからね。

現在の建築理論では、この階段全体が支柱の役割を云々とか解釈されているようですが、当然当時の建築理論ではそのような理屈はないわけで、実に不思議な階段なのです。早い話が「そんなの作るの無理!」

そもそものことの発端は、ロレット礼拝堂の建築者であるアントワン・ムリーさんの急死とされていますが、具体的には、ロレット礼拝堂を作っている最中

二階に行くための階段がない

というあまりにもなうっかりミスが発覚したことに始まります。おいおい、いくらなんでもうっかりにも程があるとは思うのですが、実際にないものはないのであって、こういう時ってのはなぜかみんなオロオロするものですよね。しかも礼拝堂は既に完成間近で、設計を変更しても階段を付けることが無理!なんて状況。

時は1877年。ロレット礼拝堂の建設が始まったのは1873年。

4年も気づかないなんて……しかも、気付いてからもどうにもできないなんて……

今風に言うなら草生えるwwwwww

そしてその解決策として当時のロレット修道女会の修道女たちが選んだのは

お祈り!

いやちょっと待て!と今なら総ツッコミが入ること確実なこの状況で、彼女たちは聖ヨゼフ(ちなみにこの方は元大工さん)にお祈りをするのです。

wikipadiaより

そしてお祈りしてから9日後、1人の老人が一頭のロバと共に現れました。持っていた道具箱にはT字型の定規と鋸、そして金槌だけ。貧乏か!とかいうツッコミは当然ありませんでしたが、この老人が作ったのがこの聖ヨゼフの螺旋階段なのです。

なんとこの螺旋階段、支柱はおろか当初は手摺りすらなかったようです。

なんともすごい不思議なお話。そしてその螺旋階段が今でも残っているのでして、本当に見に行きたいなぁ。そして上がったり降りたりしたいなぁ。

 

さて、僕なりに面白おかしく書いてきたこのヨゼフの螺旋階段ですが、1番の謎は

どこからこの木材を調達してきたのか?
そもそもこの老人は何者?

の2点で、今だにわかっていません。おそらくは未来永劫わからないのではないかと思います。

ところで、僕はこの種の謎やミステリーに関しては「わからなくてもいいものもあるのではないか」と考えています。これが未解決事件であるなら、特に殺人事件であるなら話は別ですが、誰かが困ったわけでもなく、苦しんだり損をしたりしたわけでもないようなものなら、謎は謎のままの方がいいなぁと思うのです。その方がミステリーだし、ワクワクします。そしてこの種の情報が刷新していくたびに多くの人が

謎だー不思議だー

って思う方がいいじゃないですか。みんなで不思議だと騒げばいいのです。ぞれ分だけ人生は豊かになると僕は信じています。

 

最後に、階段といえばどうしてもウイリアム・ブレイクを思い出してしまうのですが、この素晴らしい絵画!

wikipediaより

ヤコブの階段、あるいはヤコブの夢と呼ばれるこの絵画には大きな螺旋階段が描かれています。こちらの階段にも当然支柱などありません。この絵画の背景に関してはここでは割愛しますが、まさに階段が大事なポイントなのです。

謎の老人はこの絵を知っていたのかな?ちなみにこの絵は1805年制作。螺旋階段を作ったのは1877年。

う〜む。